歯周病治療

歯周病について

歯周病とは、歯周病菌に感染することで歯茎が腫れたり、歯茎から出血したりする病気です。初期にはほとんど症状が現れないという特徴がありますので、こうした症状に気づいた時にはすでに進行してしまっている恐れがあります。歯周病が進行すると「歯槽骨」と呼ばれる歯を支える骨が溶けて、最終的に歯が抜け落ちてしまうこともあります。 歯周病は早期発見・早期治療が肝心ですので、気になる症状がある時にはできるだけ早く当院までご相談下さい。

歯周病の進行

  • 健康な状態

    歯と歯ぐきの間に1~2mmの隙間があるのが健康な状態です。

  • 歯肉炎

    歯ぐきだけが腫れている状態です。軽い炎症なので、痛みや違和感はほとんどありません。ブラッシングを徹底し、歯科医院でクリーニングや歯石除去などを行えば、健康な歯肉への改善が期待できます。しかし、歯肉炎を放置すると第二段階の「歯周炎」に移行します。

  • 軽度の歯周炎

    「歯磨きをすると出血が起こる」「歯が浮くような感じがする」などの症状があります。ただ、ほとんどの場合自覚症状がありません。主な治療法として、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの歯垢や歯石除去などを行っていきます。もちろん、ご自宅での徹底したブラッシングも欠かせません。

  • 中度の歯周炎

    歯槽骨が溶けて、歯肉が赤紫色に腫れている状態です。膿が出てくることもあり、口臭が強くなるなど、はっきりとした自覚症状が出てきます。通常のクリーニングや歯石除去などでは対応できないケースも多く、歯周外科手術が必要な場合があります。

  • 重度の歯周炎

    歯肉は下がり、大量の歯石が歯根に付いているのがわかる状態です。歯を触ると大きくグラつき、自然に抜け落ちてしまうケースもあります。残っている歯を長く持たせるよう、歯槽骨の回復を目指す治療などを提案できる可能性もあります。

歯周病と全身疾患の関連性

歯周病は口の中だけの病気と軽く考えている方が多くいますが、実はそうではありません。歯周病は糖尿病や喫煙などと同様に、生活習慣病の一つと考えられています。
歯肉で炎症が続いていると、歯周病菌や菌の出す毒素が心臓への影響を与えたり、肺に入ることで、全身疾患を引き起こす可能性があります。

また、高齢者に多い誤嚥性肺炎を予防するためにも、歯周病のケアはとても重要です。誤嚥性肺炎は、歯周病菌などの細菌が唾液や食べ物と一緒に肺に入ることによって起こるといわれています。食事中だけでなく、就寝中などに自覚なく、唾液と共に菌が誤嚥することによって発症するケースも多いとされています。特に、入れ歯には細菌がつきやすく、定期的な入れ歯の手入れ・調整も大事です。

歯周病と関連のある代表的な疾患

  • 糖尿病

    歯周病と糖尿病は深い関連があり、互いに症状の悪化を誘発することがわかっています。糖尿病の方は歯周病になりやすいので注意が必要です。

  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

    誤嚥性肺炎とは、生理的機能が衰え、唾液中に含まれる細菌が、唾液や食べ物を飲み込んた時に、誤って肺に入り、肺炎を起こすことを指します。この誤嚥性肺炎は歯周病の原因になることが多く、特に、食物の飲み込みを上手に行えない人(高齢、認知症、脳血管障害、手術後など)は、注意が必要です。

  • 心疾患

    心疾患は、生活習慣病の一つで、食生活・運動・ストレスなどの積み重ねが引き起こします。心疾患を発症するリスクは、歯周病のある人が、ない人と比較して高いことが報告されています。 また、歯周病の進行が悪いほど、心疾患の発症リスクが高くなるとも言われています。これは、歯周病に引き起こされる炎症性物質が心臓血管にも影響するためと考えられています。

  • 早産・低体重児出産

    妊娠中に歯周病にかかると、早産・低体重児出産のリスクが高くなるとされています。喫煙や飲酒よりもリスクが高いので注意が必要です。

歯周病の予防法

歯科医院でのプロフェッショナルケア

歯周病は初期には自覚症状がほとんど現れませんので、早期発見・早期治療のためには歯科医院で定期メインテナンスを受けることが大切です。
3ヶ月に1回程度のペースでメインテナンスを受けて頂ければ、進行する前に歯周病を発見して、早期に適切な治療を受けることが可能となります。

ご家庭でのセルフケア

歯周病を予防するためには、歯科医院での定期メインテナンスだけでなく、ブラッシングなどのご自宅でのケアも大切です。当院では患者様へのブラッシング指導(TBI)に力を入れて取り組んでおります。

一人ひとりのお口の中の状態を詳しく確認した上で、「どうして歯周病になるのか?」「どの部分に磨き残しが多いのか?」などをご説明した後、歯科衛生士が中心となって正しい歯の磨き方や歯ブラシの選び方、歯間ブラシやデンタルフロスといった清掃補助用具の使い方などを丁寧に指導させていただきます。

「歯科医院での定期メインテナンス」と「ご自宅での適切なケア」が両立して、初めて効果的に歯を歯周病から守ることができるようになります。